すいません、食させていただきます。別にこの海原天保山、鳩山由紀夫になったわけではないぞ。天神橋筋商店街の南のはずれにあるこの店でめしを食えば、この私とてこのようなへりくだった言葉遣いになってしまうのだ。 まず安い。昼の定食は600円からだが、焼魚・煮魚・だし巻・天ぷらなどの主菜に小鉢とみそ汁、ごはんに香の物がついてこの値段だから、たいしたものだ。味もなかなか。私は魚好きで、とくにサバやカレイの煮付けには目がないのだが、ここの煮魚は本物だ。みそや醤油も吟味されているようで、化学調味料でごまかした、安定食屋とは一線を画すものだ。 しかしながら、とくにブルーな日には、この店はご遠慮させていただきたい(とまた鳩山由紀夫調)。店名からして山陰地方出身の店主は知人以外には極端に無口だ。奥の厨房で不愉快そうにタバコを吸っている。「いらっしゃいませ」とも言わぬ し、注文してもニコリともしない。配膳のおばさんも声だけは愛想するものの、目が笑ってない。「ひょっとして今は営業時間外なのか」と不安になる。 「あのー、よろしかったらカレイをひとつ食べさせていただきたいのですが…。」 『末長くお店をお続けあそばせっ!。ごきげんよう!』
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