恐るべし!給食スパゲッティ

 看板に「関西唯一の味」とある南森町の人気店。噂では中毒気味になっている者までおるらしい。この海原、興味津々で訪れることにした。

 メニューを見て驚く。カルボナーラ、ボンゴレ、バジリコなどといったイタリアンの定番も、たらこなど和風スパの定番もまったく無いのだ。ミネレーゼ、バイキング、インディアンなどと見慣れない名前、下の説明を見ると、ウインナーだの目玉 焼きだのトンカツだのと、おおよそスパゲティにふさわしくないものが並んでいる。

 期待と不安に胸が高鳴るひまもなく、わりとすぐに皿が出てくる。こんもり盛り上がった麺の山の上に、とろみのある茶色いソースがたっぷりかけられ、さらに上にはフライや目玉 焼きが本当に載っている。しかも同じ皿の上にパンが一切れとキャベツの細切りも添えられているのだ。

「なんじゃあこりゃああー!」と松田優作になって食べる。期待以上というか不安以上の奇妙キテレツなものだ。ぶっとい麺はコシがないのにやけに堅い。トマトソースにしては妙に茶色いなあと思ったソースは独特の風味がする。まさかと思ったがやっぱり、
おみゃあよおー、これは八丁味噌だぎゃあ。
具の味は見たそのまんま。甘さも塩辛さもピリ辛さも脂っこさも全てが濃い味。疲れてちょっとパンをかじるとこれがまた…。フランスパンに見えた一片は、とんだフニャフニャだ、こんなパンがあったとは…。しかしだ。私はスパゲティ単品を注文したのにこれだ。とすると壁に貼ってある「ランチ」とは何なのか。傍らの客を見て驚愕した。ごはんを食べている。スパゲティをおかずにごはん…。

 食べながら思い出すのは小学校のころ食べさせられた学校給食のスパゲティ。家でもごちそうなどなかったあの時代、それでも給食だけはいやだった。『思えば日本は豊かになったなあ…』そんな感慨に浸らせてくれる(しかも高い金を払って)貴重な店である。 

※編集部註:海原天保山先生は名古屋でスパゲティを食べたことが無いようでした。名古屋ではスパゲティといえばこれが当たり前であると申し上げたところ、

 「馬鹿者!、どこで当たり前であろうとまずいものはまずいわ!。900円も払わせおって。中川、二度とあれをスパゲティと呼ぶな。」

 と、たいへんな剣幕でした。名古屋のみなさま申し訳ございません。

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